一人暮らしを始めた頃の思い出

もう6年目になるけど、一向に目が出ない。一人暮らしから立派な家を目指すのが当面の目標。一緒に頑張ってくれてる相方の為にも、もうこれ以上くすぶっている訳にはいかない。

西川に電話をするが繋がらない。まさか着信拒否をするほど怒ってるとか?いやそこまで根に持つタイプじゃないはずだ。あいつの所へ行ってみるか。上京して一人暮らしを始めた頃は、よくお互いの部屋に行ってたんだけどなあ。とにかくメールをして向かう。最寄駅に着き、道順を思い出していると、おい東山、と呼ぶ声が聞こえる。振り返ると相方がいる。駅のホームから出てきたところを見ると、どこかへ行ってきたようだ。とりあえずやつのアパートへ行くことにした。

一人暮らしの生活スタイルの差

中に入ると、ボロで狭くても綺麗に片付けられている。清潔な一人暮らしはこいつらしいな。しかしよく見ると、テレビの周りにはお笑いのDVDが何枚も散らばっている。西川が言う。この間先輩の芸人に言われたんだ、お前のボケは面白いけど俺のツッコミがダメだと。それでいろいろ研究してたんだ、と。いつも東山まかせで俺が何も考えてないのがいけないのかと思ったらしい。そんなこと考えていたのかと驚くが、喧嘩の原因が分かりホッとする。

一人暮らしを脱出する夢と情熱

昨日はやたらと細かいところまで口出ししてきたが、こいつなりに自分たちの芸を真剣に考えてのことだったんだな。言ってくれればいいのに。さらに、知り合いに頼んでライブにゲスト出演させてくれって頼んできたから、と相方から聞かされる。やつは社交的で知り合いも多く、そこから仕事を貰ってくることもあった。喧嘩のお詫びらしい。こうしてお互いの足りないところは、お互いが補ってきたことを思い出す。頑張ろうぜ、収録。そう言うと西川も大きく頷く。孤独な一人暮らしの部屋でも、夢と熱い情熱が溢れるのを感じた。

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