一人暮らしという感じがする

もう6年目になるけど、一向に目が出ない。一人暮らしから立派な家を目指すのが当面の目標。一緒に頑張ってくれてる相方の為にも、もうこれ以上くすぶっている訳にはいかない。

部屋に電子音が響き、その音で眼が覚める。携帯電話のアラームを止めながら昨日相方と喧嘩したことを思い出す。喧嘩することは今までに何度かあったが、ここまで派手なのは初めて。最後は物の投げ合いにまでなった。おかげでただでさえ汚いアパートが今日はさらに散らかっている。いかにも男の一人暮らし、という感じがするな。少し片付けるか。空のペットボトルやらノートやらを拾いあげる。ふとネタのノートに書いてあった言葉が目に入った。

一人暮らしの日々の思い出

黄ばんだ古いノートの最後のページに大きく書いてあるのは「お笑いコンテスト優勝」「ラジオ番組を持つ」「冠番組をやる」これは俺達が芸人活動を始めた時に、目標として掲げたもの。昔を思い出す。事務所を転々としたこと、ライブでも全然うけなかったこと。ネタが思い浮かばない苦しみ。バイトばかりで極貧の一人暮らしの日々。だが、それでも笑いが起きたときの快感、そして西川と舞台に立つ楽しさ。それを思うと、そんな苦しみは吹き飛んだものだった。

一人暮らししながら追いかけた

何をやってんだろうな、俺達。昔はお互いの一人暮らしの部屋でずっと夢を語っていたのに。どんな無茶だってやったのになあ。路上でライブしたり、テレビ関係者に勝手にネタを収録したテープを送ったりしたのに。でもいつまでも売れないまま。一方では自分達より芸歴の浅いコンビがテレビで活躍している。お互い売れない焦りがあったのか、熱が入りすぎたのか。とにかくもう一度西川と話し合わなければいけない。あんなになっても「解散」という言葉だけは出なかったから、まだ大丈夫なはず。

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