一人暮らしで売れずに辞めたらしい

もう6年目になるけど、一向に目が出ない。一人暮らしから立派な家を目指すのが当面の目標。一緒に頑張ってくれてる相方の為にも、もうこれ以上くすぶっている訳にはいかない。

今日は事務所で打ち合わせ。お笑い芸人数組が所属する弱小事務所だ。劇場を持っているような大手なら、若手でもテレビに出演させて貰えるが、小さい所じゃそれも難しく、ライブで地道に実力を磨いていくしかない。知り合いの、売れずに苦しい一人暮らしをしていたやつが芸人を辞めた、と聞かされた。面白かったのに残念です、と悔しがっていたその時に、よう東山、と声がする。ツッコミ役の相方だ。お疲れ様です、西山さんと構成作家が挨拶する。

一人暮らしを抜け出すために

西川は、家賃しばらく払ってなくてさ、大家が取り立てに来て大変なんだぜ、と作家に笑いながら話しかける。こいつは明るい性格で、クラスでも人気者だった。顔もなかなか良く、女にも人気が高かった。無口で無愛想、人見知りな俺とは正反対だ。高校時代の文化祭で、コンビを組んで漫才をやったのが始まりで、こいつを大学中退させてまでお笑いの道に誘った俺としては、相方に売れずに苦しい一人暮らしをさせるのは申し訳ない。何とかして成功しなければ、という思いがある。

一人暮らしが題材でウケるかな

オーディションに向けて打ち合わせを始める。俺が書いたネタを元に西川や作家と相談して作り上げていく。これを客の前でやったらどうなるんだろうか。新ネタを作るのは大変だが、ライブでウケたときは最高に気持ちいい。実際に台本通りやってみる。今彼女いないんですけど、いつか彼女できたらいいなと思うんですよ。一人暮らしの僕に料理作ってくれたりして。お前の理想は?西川の台詞のあとに俺の台詞が続く。本当にライブが楽しみだ。

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